一番大切なもの(後編)
二人の兄弟は、面白いほど正反対だ。
カレーライスをよそれば、長男は白いご飯だけ、次男はルーと具だけ食べる。食器洗係的には「2人で一つの皿で済ませていいんじゃないか」と思ってしまう。
・・・あんまり気の利いた例ではなかったが、とにかく性格が正反対だ。長男は静かに独りの時間を好み、人見知りだが気心が知れてくると穏やかでクラスの中でもわりと誰とでも上手く合わせられるみたいだ(過去はさておきあくまでの今現在の話)。対して次男はナカナカの暴れん坊で、ちょっとしたことに大声で騒ぎ出す。初対面のお客さん大好き、下校途中にお友達のお宅に上がり込んでちゃっかりご馳走になってたりするので油断がならない。
天使だった頃が懐かしい・・・。
そんな次男なので、何度か「多動」を指摘されたことがある。3〜4歳の頃、かかりつけのドクター(今は転勤してしまった)が「こりゃ是非専門家に‼︎」と張り切って紹介状を書いてくださった。が、当時は天使の面影が残っていたのと同時に、長男のことで頭がいっぱいで「多動?次男くんが??」「この子は本当に手のかからない子でーーー」と全く思い当たる節がなかった。
いや、本当のところは「手がかからない」のではなく「手をかけない」だけだった、と後で思い知ることになる。
次第に暴れっぷりが表在化するようになった次男くん
が、集団生活では特に出歩いてしまうなど逸脱した行動はない模様。
折角の紹介状、有り難く使わせていただきます‼︎
専門医受診。二人同時に診察室に入った瞬間、つかみ合いの大げんかが始まる(あ、先生とじゃないよ念のため)。そして何故か、ついでに受診したはずの長男くんが見事確定、次男くんは経過観察となった。が、とにかく家では常に動き回る。階段の手すりに登っては飛び降りを繰り返す。思うようでないと奇声を発して暴れまわる・・・。エネルギーを吸い取られていくような錯覚とともに「次男くんも"何か"があるんじゃ?」という思いに次第に蝕まれていった。
長男が確定したことで、私の目にフィルターがかかってしまったのかもしれない。
悶々としながら県の教育支援センターへ
1度面談した後、日を改めてWISC-IVというテストを受けることになった。
http://www.taisetsunakimi.net/_themes/docs/wisc4.pdf
・・・判定結果は「極めて平均値」
寂しかったんだね。ゴメンね次男くん。
可能性が一つ潰れたことで、方向性も見えてきた。要はキチンと構ってあげてなかっただけなのだ。とはいえ、いわゆる「育て直し」の作業は果てしない道程に感じる。
結論。一番大切なのは、「今」をキチンと生きること。
・・・どうよ?今の。